⑤片頭痛は予防治療を考えましょう
片頭痛は予防治療を考えましょう
前回までに、動くと痛みが悪化する頭痛は片頭痛で、寝込んでしまうようなひどい痛みになったら特効薬はないこと。普通の痛み止めはひどくなる前に飲まないと効かないこと。薬を飲みすぎると薬物乱用頭痛(痛みどめの飲みすぎで、かえって頭痛が起こる)を誘発することを説明しました。片頭痛には痛くなったら飲む薬のほかに、発作の頻度を減らし症状を軽くすることができる薬が何種類か知られています。今回は片頭痛の痛くなるのを予防する治療について説明します。
薬による予防療法
片頭痛の発作が月に2回以上ある場合に片頭痛が起こらないように薬を飲むことを考えます。それ以下でも、痛くなってから薬を飲んでも効かないで寝込んでしまうほどひどい場合は予防治療を考慮します。
予防療法のメリットは、
① 発作の頻度、重症度、持続時間を減らします。
② 頓服の痛みどめの効果をよくします。
③ 動けなくなるような頭痛を減らすことで、日常生活機能が向上します。
薬による予防療法は効果のある人が多く、薬も比較的安価なため、高価なトリプタン製剤をたくさん飲む方は試してもよいと思います。副作用の少ない薬を少量から開始し、効果がない場合は増量し、最低でも1-2か月の時間をかけて効果を判定します。効果の判定には「頭痛ダイアリー」という、頭痛の性状や持続時間、薬の使い方、効果の判定などを記録するメモを用いて行います。
女性で、月経や排卵日前後に片頭痛の発作が起こる方は、その時期だけに限って予防療法を行うと、楽に過ごせる可能性があります。
発作の誘因を避けることは必要です
「頭痛にはタネがある」と昔から言われていますが、頭痛発作の誘因に気が付いていない方が多いです。前述した「頭痛ダイアリー」(ネットで検索すると出てきます)を用いて自分の頭痛がどんな時に起こっているかを確認すると、タネが見えてくることがあります。
誘因に関しては、前々回詳しく述べましたので省略します。