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③両側が痛くても片頭痛?

両側が痛くても片頭痛?

前回は頭痛の2人に1人は肩こりならぬ「あたまこり」の状態で、体が悲鳴を上げている状態で起こりやすいことをご説明しました。今回は「頭痛の王様」ともいえる片頭痛について説明します。頭の片側半分が痛いから片頭痛と思っている方は多いと思いますが、前回説明したように「頭の血管」が痛い頭痛のことを片頭痛といいます。血管が痛いのですから、頭の両側が痛い片頭痛というのもあります。頭痛で医療機関を受診する患者さんの3人に1人はこのタイプです。実際には成人の8%が片頭痛もちというデーターもあります。ほとんどの方が医療機関に相談せずに市販の鎮痛薬等で(自己流で)治療をしているといわれています。女性に多く男性の4倍です。「偏頭痛」と書く場合もありますが、医学用語では「片頭痛」が正式の用語とされています。

片頭痛の特徴をまとめますと


頭の片側に起こることが多く、こめかみが痛くなることが多いですが、頭の後ろが痛いものもあります。


ズキンズキンと脈をうつような激しい痛みで、ひどくなると持続的な痛みになることもあります。


音や光が気になるという症状を伴うことがあります。(ちょっとした音がガンガン耳に響いたり、光が妙にまぶしく感じたりします)


頭痛の前兆として「ギザギザした」光が見えたり視野の半分が見えにくくなることがあります。(前兆)


動くと痛みが悪化して、動けなくなったり寝込んでしまい、仕事や学校を休まなくてはならないような強い痛みの頭痛です。


吐き気がひどいことが多く、実際に吐いたり、頭痛とともに手足がしびれたり、頭痛以外の症状を伴うことがあります。

 

緊張型頭痛(先月のこのコラムで説明した頭痛)との違いは、動くと痛みが悪化するので、動けなくなるようなひどい頭痛であることと、吐き気だけでなく実際に吐くことが多いことです。

 

片頭痛には頭痛信号があります!

片頭痛には前ぶれ(予兆や前兆)があることが知られています。

予兆

片頭痛患者の50%程度に、何らかの予兆がみられ、明らかな片頭痛発作が起こる24時間くらい前から徐々に起こってきます。これは片頭痛の前に起る体調の変化で、予兆は頭痛のあらわれる信号、いわゆる「頭痛信号」です。

生あくび、落ち着きのなさ、気分高揚感、イライラ、空腹感、甘いものが食べたくなる、体のむくみなどが片頭痛の予兆です。これらの症状は、はっきりしなかたり、出たりで出なかったりするため、患者さんも気が付いていない場合も多いです。

前兆

片頭痛には「前兆を伴う片頭痛」があり、片頭痛の患者さんの5から10人に1人が前兆を伴うと言われています。前兆のうち最も多いのが、「閃輝暗点」といわれるものです。これは、たとえば新聞を見ていると、視界にチカチカした光が現れ、これが拡大していくにつれ、元のところは見えにくくなります。前兆は、頭痛発現前の60分以内に起こることが多く、普通20~30分続きます。前兆のときには頭痛がありませんが、前兆が終わると激しい頭痛に襲われます。前兆のみで頭痛を伴わない「頭痛のない片頭痛」という病態もあります。

 

片頭痛発作にはタネがあります!

頭痛にはタネがある!と前回説明しましたが、緊張型頭痛と同じように片頭痛でもタネ(誘因)があることが知られています。ストレス、ホルモン、食物などが引き金になって片頭痛が起こります。ストレスは、片頭痛の有力な誘因ですが、ストレスがかかっている最中は血管が緊張しているためか、頭痛が起りません。ストレスから開放され、「ほっとした時」に血管も緩み、片頭痛が起こることがあります。緊張からの解放が頭痛の発作の誘因になるのです。楽しい週末になると片頭痛が起り、楽しみにしていたことがフイになる方がいます。これを「週末頭痛」と呼びますが、思い当たる方は少なくないと思います。

また、女性ホルモンの変化は片頭痛の引き金となります。(生理や排卵日の前後はホルモンが急激に変化するために片頭痛が起りやすくなります) また、妊娠中はホルモンが安定するために片頭痛は起りにくくなります。

飲食物ではチョコレート、ワイン、チーズ、柑橘類、ナッツなどが関係するといわれています。しかし酒類を除くと片頭痛と関係する人はそれほど多いものではありません。

血管を広げる薬(狭心症の薬など)は片頭痛を誘発します。

空腹は片頭痛の原因のひとつです。

人ごみや騒音、まぶしい光など物理的刺激や悪い環境も片頭痛を誘発します。

「不眠」も「寝すぎ」も片頭痛のもとですから、規則正しい生活を心がけましょう。